宮古上布は苧麻手績糸を原料糸として、醗酵建てによる琉球藍で染色し織り上げた織物です。細かな十字で絵柄を構成しているのが特徴で、模様は手括りや機織締の技法により作成されています。他の沖縄の織物とは異なった雰囲気があり、戦前から四大上布の一つとして知られています。特に「東の越後、西の宮古上布」と並称され、越後上布とともに夏物着尺を代表する高級紺上布です。
その起源は1583年、稲石刀自によって作られたのが始まりで、1610年には王府に税として納める貢納布となり、薩摩への上納布となりました。その後、地租改正によって自由製造販売が許された宮古上布は、大正12年頃には「製品としての宮古上布」の地位が確立され、17,000反前後が生産されました。宮古上布は、昭和49年6月11日に県指定伝統工芸製品、昭和50年2月17日には国指定伝統的工芸品として認定されています。また、昭和53年4月26日に国指定の重要無形文化財の保持団体認定を受けています。
原材料 | 苧麻手績糸 |
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主な製造地 | 宮古島市、多良間村 |
主な製品 | 着尺 |
組合名・設立年月日 | 宮古織物事業協同組合・昭和33年8月16日 |
国指定伝統的工芸品指定年月日 | 昭和50年2月17日 |
県指定伝統工芸製品指定年月日 | 昭和49年6月11日 |
出典 | 工芸産業振興施策の概要
宮古織物事業協同組合ウェブサイト |
宮古上布は、原材料である苧麻の栽培から糸績み、絣締めなどすべての工程を宮古島でおこなっています。しかし、戦後の社会的基盤の著しい変化は原料糸である苧麻手績糸や上布の製造に大きな影響を与え、現在では、規模・生産量ともに戦前の数%程度でしかありません。その状況を改善すべく昭和33年に「宮古織物事業協同組合」が設立され、昭和52年には業界振興の中核機関として「宮古伝統工芸品研究センター」が完成しました。平成20年度には地域ブランドとして「宮古上布」の商標登録を受けています。着尺以外にも財布や小物入れなどの製品も生産しています。