沖縄の音楽に欠かせない存在である三線は、黒壇や紫壇などの木材とニシキヘビの皮で作られています。7種類もの型があり、繊細な職人技が求められる三線作りは、原木選びから数十年かけて仕上げることも珍しくないといいます。
正確な起源は不明ですが、600年以上の歴史を有しており、14世紀に中国から三絃が伝来して以来、貝摺奉公行所の名工などの手により琉球独自の楽器として発展してきました。「三絃」の呼び方であるサン・シェンの発音が、沖縄で「サン・シン」と発音され、「線」と表記したと考えられています。17世紀には、名誉の対価や褒賞などの贈呈品として三線を用いる思想が生まれました。近年では、海外への移民が多数所持しているほか、終戦直後にはあり合わせの材料で製作されたカンカラ三線が戦争で傷ついた県民の心身を癒やしていました。「三線」は、平成24年11月30日に県指定伝統工芸製品として認定されています。
原材料 | 黒壇、紫壇、ユシ木、イヌマキ、ニシキヘビの皮 など |
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主な製造地 | 沖縄県全域 |
主な製品 | 主要な型として、南風原型、知念大工型、久場春殿型、久葉の骨型、平仲知念型、真壁型、与那城型 |
組合名・設立年月日 | 沖縄県三線製作事業協同組合・平成22年4月16日 |
国指定伝統的工芸品指定年月日 | 平成30年11月7日 |
県指定伝統工芸製品指定年月日 | 平成24年11月30日 |
出典 | 工芸産業振興施策の概要
沖縄県三線製作事業協同組合ウェブサイト |
戦争により多くの人命と有形無形の文化財が失われ、三線も例外ではありませんでしたが、琉球政府時代の1955年に名器とされていた三線3挺が特別重要文化財になりました。1958年までにその他の名器8挺も重要文化財として指定され、本土復帰に伴い沖縄県指定有形文化財に。平成7年にはさらに9挺が追加され、現在では20挺の三線が工芸品として指定されています。平成22年4月16日には「沖縄三線製作事業協同組合」を法人設立し、平成30年11月には伝統的工芸品として経済産業大臣の指定を受けています。現代では、世界遺産に登録された組踊や琉球古典音楽、ポップスなど様々な音楽シーンで用いられ、その素朴な音色は多くの人々を魅了しています。